Loading...
2012年6月26日

うまく使いこなそう!|行政書士の活用術


「●●士」っていう資格(いわゆるサムライ業)って、たくさんあるけど実際にどんな仕事をどんな人がやっているのか分からない、ってことは少なくないと思います。
特に、行政書士って何屋さんなのかよく分からない!という声を聞くのですが、そのたびに悲しい気持ちになります(泣)。

そこで、本日は超入門編として、行政書士のスタンダードな利用方法をご紹介したいなぁと思いました!これで少しはイメージを持ってもらえたらウレシイです!



少し長いので目次を置きます。

【目次】
1.そもそも行政書士ってどんな仕事!?
2.こんな仕事やってます!
3.利用するかどうかの判断基準
4.サムライ業を使いこなすコツ


1.そもそも行政書士ってどんな仕事!?



行政書士は、皆さんと国や地方公共団体といった<お役所>をつなぐ「通訳さんのような仕事」と言えます。

世の中には建設業や産廃業、飲食業、風俗営業、倉庫業、運送業、リサイクルショップなど無数の営業が存在しますが、日本でこれらの営業をするためには、お役所にOKをもらわないといけません。

このOKをもらう手続を、「許可申請」や「認可申請」「認証申請」「登録手続」などいろんな呼び方があるんですが、いずれにしてもどれもすごく面倒くさい作業なのです。何が面倒かというと、たくさんの書類を作ったり、集めたり、お役所に何度も足を運んで話をしたり、・・・正直みんなイヤがる作業なのです。

けど、面倒くさいからと言って黙って営業してしまうと、お役所から注意を受けてしまい、罰金を支払わなければならない場合も出てきます。

そこで、行政書士が登場します。行政書士は「代わりに」これらの手続をおこなうことが許された資格です。これは弁護士でない限りは、(特定の領域を除いて)行政書士しか許されないっていうように、制限がされています。


2.こんな仕事やってます!




行政書士の仕事が、お役所の手続に関する代行業だというお話をさせて頂きました。次は、実際にどんな手続のプロなの?という話をするに当たって、特定非営利活動法人(NPO法人)を例として挙げさせていただきます。

NPO法人は福祉や、教育、まちづくりなど全部で20の分野に分かれて社会貢献事業をおこなう法人です。ボランティア団体とは異なり、事業を通じて収益を上げて社会貢献を持続的に展開していく組織なのです。

このNPO法人を作るためには、最初に活動拠点となる都道府県などから、「NPO法人をつくって良いですよ」とお墨付きをもらう必要があります。この お墨付きをもらうことを「認証申請」というのですが、これがまた多数の資料を準備して、お役所ともやりとりをしなければなりません。この「認証申請」を代行するのが行政書士です。


さて、晴れてNPO法人として活動が許されると、今度は社会貢献事業を発展させていく必要があります。というのも、社会貢献事業というのはそれ自体は収益性が乏しく、組織を安定させて補助金をもらったり、寄付を募らないと持続的な活動はできないものなのです。

そこで、NPO法人が公益的で事業基盤もしっかりしていると都道府県が「認定」した場合には、たくさんの大きな特典がもらえるようになっています。この「認定」を取るのはとても難しいのですが(4万以上存在するNPO法人のうち、300に満たない法人しか「認定」をもらえてない!)、昨年の法改正によって「認定」が少し取りやすくなりました。これは、もちろん「認定」を取るNPO法人をたくさん増やそうという国の政策の一環ですので、NPO法人を運営している人は利用しないわけにはいきません。

ただ、やはりこの「認定」をもらうための手続も、すごく面倒です。そこで、「認定」の手続を代行できるのが行政書士という資格なのです。


「認定」を取得し、事業も波に乗ってくると、他のNPO法人と「合併」したり、会社などの企業と一緒に事業を共同しておこなう場合も増えていきます。その際に「合併」手続もまた行政書士が登場しますし、企業との共同事業については「契約書の作成」なども行政書士が関与します。


このように行政書士は一つの法人について、折々の機会に関わってくる仕事なのです。



3.利用するかどうかの判断基準




なぜ行政書士に仕事を依頼するかというと、「運営者に手続をしている時間がない」「手続が難しい」という理由があるからです。逆に言えば、「時間がある」ような人はあえて行政書士に依頼する必要はないと思うかもしれません。そこで、私が考える一つの判断基準をご紹介します。


(1)その手続を覚える必要があるか


手続には2つの種類があります。「何度もやらなければならない手続」と「ほぼ1回きりの手続」の2つです。

「何度もやらなければならない手続」とは、たとえばNPOであれば毎年の事業報告の提出などです。これはスタッフを抱えている法人であれば、スタッフに事業報告の作成方法を勉強してもらって、自分たちでできるようにした方が良いと思います。

他方で、「ほぼ1回きりの手続」はどうでしょうか。
これは上でご紹介した、「NPO法人の認証申請」や「認定申請」などです。「認証」については一つの法人については、原則として1回しか必要ありません。「認定」については5年おきに更新する必要がありますが、あれだけの手続をわざわざ自分たちでできるようにしておくメリットは、ほとんどないと言って過言ではないでしょう。こういう手続については、行政書士に依頼してしまった方が、ストレスも生まれませんし、本業に専念することが可能となります。


(2)手続の先にある目的の準備はどうか


手続の先には実現したい目的があるはずです。
たとえば、「認定」を取ろうと考えるNPO法人は、社会貢献事業を発展させるために、多くの寄付を募りたいとか、認定を取得したことによるNPO法人のブランド力の向上を狙うこともあります。ブランド力が上がれば大きな企業と共同事業を実現することも可能となりますので、認定の意味は本当に大きいと思います。

「認定」の先にあるこれらの目的は、「認定」が取れてから準備をしたのでは遅すぎてしまいます。認定を取るためには大体半年間は時間がかかりますので、その間何もせずに認定だけにかかりっきりでは、NPO法人自体には何も生まれないことになってしまいます。

大切なのは、目的を達成するための「認定」なのだという意識を常に持ち続け、「認定申請」をしながらも事業計画や、戦略を十分に練り、さらに企業と共同したいのであれば営業をかける必要も出てきます。これらの本当に時間を割くべき作業に十分時間を割ける時間を確保できるかどうかが、自分たちで手続をやるかどうかの分かれ道だと思います。


(3)いつも何かあったときに相談できる専門家がいるかどうか


行政書士でなくとも、何かの専門家とつながりがあれば、どんな資格がどんな仕事をしているのかが分かっていますので、その人のツテで必要な情報が得られる場合もあります。

たとえば、NPO法人は旧法の関係で税理士に相談するケースも多いと思いますが、税理士に相談の窓口になってもらって助言をもらっても良いでしょう。


このように、なぜ「行政書士に依頼するのか」を明確にできれば、依頼するコスト以上の利益が得られることは間違いありません!



4.サムライ業を使いこなすコツ




NPO法人を例に行政書士業の使い方を紹介をさせて頂きましたが、行政書士が関われる分野も限られています。税務申告や、特許申請、登記申請などは、それぞれ税理士資格、弁理士資格、司法書士資格が必要であり、資格によって専門となる領域が分かれています。

領域が分かれているのが、ふつうの人からすれば分かりづらい原因なのですが、オールマイティーの資格というのは弁護士資格くらいです(代理人なので)。

そのため、特定のサムライ業に何でもかんでも依頼するのではなく、必要に応じて必要な作業をアウトソーシングするような感覚がもっとも正しいのだと私は考えています。ユーザーである皆さんにとって、便利なサムライ業サービスが広がっていくと良いなぁと思います!



今回は、超入門編として行政書士の活用術を書きました。行政書士はこれ以外にもたくさんの仕事が法律上認められていますので、それらは今後徐々に紹介できればと思っています!


こういう仕事はどうなの?っていう質問があれば、お気軽にコメントくださいね!

 
TOP