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2012年3月18日

事業って何なのか?理想を実現する手段を考える


起業の相談や事業の展開に関するご相談を頂いたり、インターネットで起業に関するページを見ると、たとえば会社形態であれば株式会社に始まり、合名会社、合資会社、合同会社(LLC)、営利性を無視すればNPO法人や各種法人、法人形態でなければ民法上の組合や、共同組合、有限責任事業組合(LLP)、基本的な単位としての個人開業(自営業)など、たくさんのメニューからどれを選ぶかという点に焦点が向かっているように思います。

事業の方法にはいずれかのカタチを採用するわけですから、提示されたメニューから選ぶという発想で間違ってはいないのですが、話はそう単純ではないように思います。




キレイごとかもしれませんが、事業とは一つの理想を実現するために行うものだと思います。その自分の理想が何なのか?ということを考え抜くことによって、それを実現するための方法を考えることが可能となるのです。

したがって、ある既存の会社が自分の追求したい一つの理想を目指しているとすれば、そこに就職することによってその理想の実現を目指す一員になれば良いですし、その会社の方法では自分の考える理想とは少々ズレているとすれば、そのズレを修正する手段として、就職した上でチャレンジするか、自分で事業を立ち上げてズレにアプローチをする。

じゃあ、自分で事業を立ち上げるのであれば、どのようなカタチを選ぶか、という問題に突き当たるわけです。

ところが、いざ事業を立ち上げようとしても、何だかいろんな形態があるらしい。。。それぞれの形態によって、出資の集め方、課税の方法、契約の主体、責任の範囲、事業の目的などの組み合わせが変わってくるのですが、これから起業しようという人や起業したばかりで経験の浅い人にとっては、何だかよく分からない(できればあまり関わりたくない)問題のように感じることは、理解できます。ごちゃごちゃしてて難しいですよね。


そのため、「起業するの?じゃあ節税のために株式会社にしようよ!」とか、「株式会社にすれば信用があるからね、迷わず株式会社にすべきだよ」「合同会社なんて使っても信用度も低いし、皆株式会社に組織変更してるよ」っていう、漠然としたアドバイス(風説?)に従ってしまうことはよくあるようです。

しかし、このようなアドバイスがいかにナンセンスなものかは、ちょっと考えてみれば明らかです。


税金は事業によって売り上げた金額から、様々な費用を差っ引いた残額(課税標準)に税率をかけて算出されます。つまり、節税するといっても、売上がどの程度立つのか(というか儲かるのか?)、費用がどの程度かかるのかによって税金は変わってくるわけです。とすれば、具体的な計画を抜きに一般的なアドバイスをしてみたところで、当事者にとってはほとんど意味がないんじゃないかと思うわけです。もっといえば、当事者がどこを目指しているのか抜きに、適切なコメントをできるような人はいないと思います。


たしかに、営利事業を進める上で株式会社形態を採用していれば、経済力や組織としての体裁も十分なような「イメージ」を持たれることは多いでしょう。逆に、それ以外の事業形態が一般の方々にあまりになじみがなく、不安感を持たれることもあると思います。

ただ、昔のように株式会社の資本金は1,000万円以上とされていた時代であれば、株式会社に対するイメージが上記のようなものだったことはそれなりに合理性を持っていたかもしれません。でも今は、1円以上であれば資本金額に下限はありません。そこでいう信用とは何なのでしょうか?



この仕事を開始して特に実感するようになったんですが、事業形態や税の扱い、法務の在り方や経営手法というのは、事業を行うことで実現したい目的(理想)に向かうための一手段に過ぎません。どれだけ声高に何かの専門家と言ってみても、その専門性自体が単独で生み出す価値というのはほとんどないと言っても過言ではないわけです。


大事なのは、事業を行うことの目的(理想)と、それに向かうための戦略です。
そこから逆算して、その戦略に最も適した(しかもオトクな)事業形態、目的に到達するためのより効率的な手法としての経営技術、税金を無駄に払い過ぎない方法というのが出てくるわけです。この当たりで専門知識は生かされるのでしょう。


間違っても、細かな(チマチマとした)手法によって目的が決定されることがあってはなりません。


せっかく雇われではなく自由に事業を行うのですから、存分に実現したい理想に向かってワガママに進んで欲しいです。そんなこと考えて生きてないよーーって人は、是非とも友人とお酒を飲みながら理想論に酔いしれてみてください。きっと、ワクワクできる自分に出会うと思いますよ。


(私もです!)

 
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