皆さんが所属する組織はソーシャルメディア・マーケティングに成功していますか?
昨日、青山で行われた「エイズ孤児支援NGO・PLAS」が主催する「社会変革 (Social Innovation) とIT」というイベントに参加してきました。決して大きくはないNGOが、いかにして日本国内で資金調達をおこない、現地(ウガンダ・ケニア)で社会貢献活動を実施しているのか。
そこには非営利も営利も関係のない、圧倒的な機動力と柔軟性により実現できているソーシャルメディア・マーケティングの成功例がありました。今回はその内容をご紹介します。(― Blogging Worker's Style)
今日において、マーケティング戦略の一環としてホームページの設置はもちろん、TwitterやFacebookを活用することは当たり前になってきています。きっと、皆さんの所属する組織や、皆さんの周りの人も個人・法人関係なくこれらのツールを使っていることと思います。
では、それらのツールを具体的に「何のために」活用しているのでしょうか?「情報発信したい」「有名になりたい」「製品を売りたい」など、いろんな目的があると思います。もしかしたら「皆が使っているから」ということで始められた組織も多いかもしれませんよね。
PLASという組織は、この点が明確であり、それに基づく行動指針が具体的に練られた結果、ソーシャルメディアの活用において圧倒的な存在感を示しています。しかも短期間で。
それは以下の手順で実現されたと言います。
- 課題の設定する
- ツールの特徴を理解する
- 設定された課題とツールをマッチングさせる
- 運用方法を決定する
- ルールを決定する
- PDCAで検証と実行を定量的に続ける
以下、一つひとつ見ていきましょう。
1.課題の設定する
資金調達をする。これがPLASのソーシャルメディア活用の目的だったといいます。
現地で活動を継続していくためには、何よりも寄付や支援を募るより他がありません。収益事業を行うわけでもないため、事業収益というものは基本的になく、サポーターを募って継続して支援事業を行うのです。
2.ツールの特徴を理解する
ソーシャルメディアと一口に言っても、たくさんの種類がありますよね。ホームページも情報発信の媒体ですし、ブログもそう。メールマガジンもそう。TwitterやFacebookもそうです。
しかし、それらのツールはいずれも活用方法が異なります。PLASでは、これらのツール一つ一つの特徴を理解することにしました。たとえば、個人的色彩の強さや双方向性によってマトリックスを整理しているのです。
こんなイメージですね。分かっているようでなかなか理解されていないところだと思います。私も含めて。。
3.設定された課題とツールをマッチングさせる
PLASでは、資金調達に当たって「スタッフが一人称で語る場」や「コミュニケーションの場」がないという具体的な課題を持っていたため、上記のマトリックスのうち、Twitterで一人称性を補完し、Facebookで双方向性を補完しました。
また、当然ながらこれらのツールを設置するだけでは足りません。大切なのはコンテンツですから、共感を生んだり、認知度を高めたり、ブランド力を高めるなど、それぞれのツールに応じた戦略が必要です。また、ソーシャルメディアだけで売上(PLASの場合は寄付)をあげることはほとんど無理なので(この点は企業も参考にすべき!)、いかにその後のアクションにつなげるかが大切と言います。
ウンウンと勉強になります。
4.運用方法を決定する
さて、どんな組織でも問題になること。それは「で、誰がやんの?」ってところ。
たとえばPLASでは、Twitterアカウントをスタッフやボランティアの方々がそれぞれのアカウントで「PLAS+なまえ」でつぶやいています。
いよいよ本日♪12/12(水)19:30から「社会変革 とIT~ソーシャルメディアとデータベースで共感を集めるマーケティング最前線~」を開催します!ゲストは @ihayato さん! bit.ly/Vl2jYx
— PLAS もんだるいこさん (@Rui_Plas) 12月 12, 2012
また、Facebookやブログでの情報発信については10名前後の方々が関わっているとのこと。これもすごい。
この点で印象的だったのは、「リーダーがきちんと使えるようになれば組織は使えるはず」というコメント。皆最初は初心者なので、リーダーシップを発揮することが大切と言います。もちろん、そうは言っても・・・ということがあるので、ゲストとして登場していたイケダハヤト氏(@IHayato)は、「精通している人に権限移譲することが大切」と言います。
5.ルールを決定する
ここまで決まれば、後は「誰が、いつ、何を、誰に向けて」発信するのかの、ルール作りです。
結局のところ、コンテンツが良くても更新されなければ意味がありません。
日々活動がなされているわけですから、常にメッセージを発信する必要があるのです。
こういう部分もとても参考になりますね。
6.PDCAで検証と実行を定量的に続ける
上記の流れをPLASでは一ヶ月半で決定したそうです。すごく早いですよね。
この機動力と、実際にそれを実行する能力。そして、活動を常に分析して修正する検証能力の高さは実にすばらしいと思います。
検証方法としては、情報発信の時間帯やメッセージの書き方などこと細かく分析しています。そのツールとしてセールスフォースの製品の活用方法が大変参考になりました。
NPO向けに大変素晴らしい製品が激安で提供されているとのことなので、きちんとソーシャルマーケティングを実施しようとしているNPOの方々は、是非導入を!
セールスフォースさんのHP |
これは私も事業に使いたいなぁと真剣に思ってしまいました。
イベントに参加されていたのは、企業のマーケティング担当者や学生さんも多かったですね。ソーシャルメディアの活用は、使っている人が多い割に十分できていないというのが実情のようですので、いかにそれが難しいことなのかということの証左なのだと思います。
とはいえ、たくさんのツールや情報がインターネットを通じても得ることができる時代です。是非積極的にチャレンジをしていきましょう。