人前でお話しをするなんて・・・って思っていたのに、結局今年はそういう機会が次々と訪れるわけで。あぁ、自営業者というかフリーランスみたいな感じで仕事をしていると、これからもこういう機会は増えるのだろうなぁと、ようやく理解し始めました。
話したいか話したくないかと言えば、今のところ苦手意識満々なので、話したくないです。でも、こうやってブログを書いたり、人と意見交換をすることはすごく好きでして、方法を度外視すれば自分の経験や考え、知識と言ったものは合理的な程度でシェアしていけたらと考えています。
というわけで、金曜日に行政書士の勉強会で私がお話しをさせて頂いた内容を簡単にご紹介させていただき、ちょっとだけ私が考えるNPOとの関わり方を書いてみたいと思います。(-Blogging Worker's Style)
1.NPOという存在について(概要)
NPO法を理解する前提として、制度の背景や国内のNPO法人の活動状況、課題、法改正の趣旨などを代表的なNPO法人をご紹介しながら、まずは参加された皆さんにイメージを持ってもらうことに主眼を置きました。
NPOは「しっかりしている」と考えている人もいれば、「何だか胡散臭い」と考えている人もいます。これらは実情として受け入れた上で、実際のところどういう状況なのかを「知る」ことによって、具体的な制度解説の理解につながると思います。
「新しい公共」という概念がどうして出てくるのか、という観点も裏側からお伝えできればいいなぁと意識しました。
2.法改正と認定制度について
NPO法の大きな改正があったこと、その内容、特に「認定」制度というものが「どんな内容」で、認定を取るためには「どうすれば良いか」というお話しをしました。
ここでは、認定を受けることによって具体的にNPO法人の活動にどんな影響があるのかということを、支援税制の内容について簡単な事例を用いてイメージを持っていただけるように進めました。当然と言えば当然ですが、行政書士は税法の知識は豊富ではありません。
私は大学院で税法についても勉強していたので、所得税法と法人税法の基本的な枠組みは理解していますので、私が理解している範囲で分かりやすくお伝えすることを心がけました。
- 所得控除と税額控除の具体的な違いについて
- 法人の寄付金損金算入限度枠について
- 相続財産を認定NPO法人に寄付した場合の相続税の取扱いについて
- みなし寄付金制度について
という認定制度の効果について基本的な部分を解説。
そして、これらの効果を得るために具体的にどのような要件が整っている必要があるのか、ということをPST(パブリック・サポート・テスト)要件を中心に解説させていただきました。
税制に関してはなかなかきっかけがないと専門家といえど敬遠してしまいがちなもの。多少なりとも理解の助けになっていれば幸いです。
3.認定制度を前提に、NPO起業の支援をどのように行うべきか
NPO法人の設立は、決して難しいものではありませんが、将来的に認定を取得していく必要があることを考えると、設立時からの詳細な計画立案が欠かせません。
行政書士としてどこまで設立手続で深くかかわるか、というのは個々の行政書士によってスタンスが異なります。また、依頼を受けたときの報酬額によっても変わってくるでしょう。
単に設立をするだけであれば自分で手続を進めるか、安い専門家に依頼をするのが良いと思いますし、制度をうまく活用してスタートダッシュをかけたいということであれば、多少の投資をしてでも間違いなくプロに依頼するべきでしょう。
昨日の勉強会では、プロとして設立手続を進める際に、注意しておくと良いと私が考えるポイントをピックアップしてお話しをさせていただきました。
4.社会起業と市場規模
最後に、市場動向についてご報告。
いわゆる社会起業と言われる市場は現在2400億円と言われていますが、それが例えば建設業や小売業界、ソーシャルメディア業界やアイドル業界の市場規模と比べたときに現在どんな状況なのか、また、今後の成長予測はどの程度か、というお話しをしました。
行政書士と一口に言っても、その活動スタイルは様々です。
とことん手続屋さんに特化して、事業プランなどには一切立ち入らない人もいれば、融資を受けることをにらんだ事業計画書を作成するタイプもいます。
私は、それぞれのスタンスに合わせて制度を研究すれば良いと考えています。
しかしながら、私としては行政書士がもう一歩深くNPOの業界に入り込んで、ファンドレイジングを行ったり、決して十分とは言えない法務体制を整備する一助となれれば良いなぁと考えています。もちろん、ボランティアではなく。
勉強会の終了後、帰路で先輩が「NPOに関わるとしても、仕事にならないよね。良いことだとは思うけど。」とおっしゃっていました。この言葉には「NPO支援は大切なこと」という考えと、「でもプロとしてお金にならないことはできない」という両方の意味が含まれていると思います。
私もそう思います。
やはりボランティア活動としてでない限りは、プロがプロであるゆえの情報提供はできないというのは、ほとんど否定できないと思います。そういう難しさが専門家とNPOとの間には生じてしまっている。NPOが無償で活動しているから、NPOへのサービスも無償にすべきという論理は成り立ちませんからね。
今回の勉強会では究極的にそういう難しさがあることをお伝えしたかったので、さすが先輩だなぁと感じました。
そして改めてこう思います。
寄付や事業活動できちんとお金が入り、そしてお金を支払えるNPO法人が増える社会づくりにきちんと貢献しなければ、と。
そうでないとNPO業界というのは、お金がない人がお金のない人のために、お金を払わずに活動する業界だと捉えらてしまいます。NPOの活動は本来的に富の分配ですが、NPOに富が集まらない以上、今は富の創出にきちんと乗り出す必要のある時期だと思います。
経済が回って初めて富の分配活動は成り立ちます。その経済を回す仕組みにNPOが絡んでくる必要がある、そんなふうに考えて私は企業とNPOのパートナーシップ事業の創出を進めていきたいと考えています。また、同じ志の仲間探しも積極的に進めていきたいですね。