世間をにぎわしているAIJ投資顧問会社の問題、皆さん理解できてますか?私は正直なところ投資顧問会社というのが実際にどういう事業形態なのか、どういう経営手法が今回問題になり、今後どうなると考えるのが一般的なのか等の基本的な部分がよく分からず、新聞を読んでも流し読みしかしてませんでした。
けど、やっぱり無視できるような規模の事件ではないようだ!ということで、問題点を整理してみました。私のように投資顧問会社(?)という状態の人の参考になれば嬉しいです!
■投資顧問という仕事
さて投資顧問会社とは、その名のとおり「投資に関するコンサルティングする会社」です。と言っても、コンサルティング事業だけなら「2000億円消失」なんて事態は通常生じません。なぜなら、コンサルティングという仕事は、知識やノウハウに基づいてアドバイスするものであり、お金を預かる仕事ではないからです(コンサルティング会社が受け取る金額は実費と報酬のみが原則)。
では、なぜ今回の事件が発生したか。
投資顧問業には、大きく「投資助言業」と「投資運用業」に分けられます。
このうち、「投資助言業」は今書いたコンサルティングのオーソドックスな事業に当たります。顧問弁護士や顧問税理士と言った普段よく使われる言葉と同じような意味で、顧問契約をおこなった上で必要な相談に乗るものです。
では、なぜ今回の事件が発生したか。
投資顧問業には、大きく「投資助言業」と「投資運用業」に分けられます。
このうち、「投資助言業」は今書いたコンサルティングのオーソドックスな事業に当たります。顧問弁護士や顧問税理士と言った普段よく使われる言葉と同じような意味で、顧問契約をおこなった上で必要な相談に乗るものです。
助言するだけでお金は預からない。 |
次に「投資運用業」について見てみます。
これは上述したコンサルティング事業とは異なり、直接顧客から投資資金を預かり、預かった資金を運用する事業になります。いわゆる投資ファンド(=投資家から資金を集めて代わりに投資を行い、そのリターンを分配する事業)です。
お金を預かった上で運用する。 |
■AIJ投資顧問の特徴
AIJ投資顧問は、上記の投資門業のうち「投資運用業」を行う株式会社です。
主に運送会社・建設会社・電気工事会社など中小企業の厚生年金基金を中心に資産運用していました。
厚生年金基金とは、企業年金の管理を行う基金(基金とは、資金を集めた一種の財団のようなもの。)であり、老後の生活の経済的な向上を目指して現役時代に集めたお金を運用することにより利潤を上げ、老後世代の年金を支える仕組みといえます。ただ、基金に運用能力がないことも多いため、外部に委託してより効率的に基金の規模を拡大するのが通常のようです。
■何をしでかしたのか?
さて、AIJ投資顧問という会社がどのような事業によって活動をしていたかは分かってきましたでしょうか?次は、事件の内容をみてみましょう。
同社は、中小企業から約2000億円を預かり運用していましたが、そのほとんどはすでに「消失」していました。にも関わらず、投資家や金融庁に正確な情報開示をしておらず、それだけでなく「安定的に収益を上げる」「240%の運用利回りを確保している」などと虚偽の情報を伝えていたことが分かりました。
ここで「消失」の原因が気になるところですが、現時点では判明しておらず、様々な憶測を呼んでいます。
原因究明に向けて捜査が進んでいますが、どうやら運用の失敗と、その穴埋めのために集めた資金を損失の補填(ほてん)、払い戻し用の資金として流用していたというのが濃厚のようです。
このように見てくると、オリンパスの「飛ばし」のような高度なスキームが用いられたというような事案ではないようです。「事件を理解する」と題してみたものの、事件の客観的な状態を整理してみると複雑なことはなく、あとは事件がどんなふうに展開するのかを見ていくしかないなぁという感じです。
■今後の動き
救いようのないAIJですが、今後はこの「消失」した約2000億円の行方に注目が集まります。AIJに委託していた企業としては、お金が戻ってくるのか大変な心配です。AIJに返済能力がないことは明らかでしょうから、どのように手当をするのかも注目していきたいですね。
ところで、この事件はAIJ投資顧問という一つの会社が引き起こしたものと見られていますが、AIJの運用能力に関する評価(うわさ)を支えていたのは、金融機関の従業員がインサイダー情報を流していたなど、カネに群がる多くの法令違反行為だったりします。
グローバル化や超高度情報化社会になり、カネの動きを把握するのが非常に難しくなっています。それを動かすことのできるごく一部の"優秀な”人たちによって、何百万・何千万(もっと多いか)もの人たちの人生が簡単に壊れます。
お金を増やしたいと考える人(顧客)とお金を必要とする人(投資先)を適切に結びつけ、結果として大きくなるカネをうまく回し続ける仕事が金融業者やファンドです。ところが、このバランスを維持することは非常に難しく、金融庁も把握できてません。近年はこのバランスがすこぶる崩れ始めているんじゃないかと怖く感じます。
▼参照記事:
・金融庁、AIJ投資顧問に業務停止命令1カ月(2/24 日経新聞)
・AIJ投資顧問を登録取り消し、監視委が強制調査に着手(3/23 ロイター)
さて、AIJ投資顧問という会社がどのような事業によって活動をしていたかは分かってきましたでしょうか?次は、事件の内容をみてみましょう。
同社は、中小企業から約2000億円を預かり運用していましたが、そのほとんどはすでに「消失」していました。にも関わらず、投資家や金融庁に正確な情報開示をしておらず、それだけでなく「安定的に収益を上げる」「240%の運用利回りを確保している」などと虚偽の情報を伝えていたことが分かりました。
ここで「消失」の原因が気になるところですが、現時点では判明しておらず、様々な憶測を呼んでいます。
- 運用の失敗に基づくのか
- そもそも集めた資金を運用せずに他に流用していたのか
- ひたすら横領していたのか
原因究明に向けて捜査が進んでいますが、どうやら運用の失敗と、その穴埋めのために集めた資金を損失の補填(ほてん)、払い戻し用の資金として流用していたというのが濃厚のようです。
このように見てくると、オリンパスの「飛ばし」のような高度なスキームが用いられたというような事案ではないようです。「事件を理解する」と題してみたものの、事件の客観的な状態を整理してみると複雑なことはなく、あとは事件がどんなふうに展開するのかを見ていくしかないなぁという感じです。
■今後の動き
救いようのないAIJですが、今後はこの「消失」した約2000億円の行方に注目が集まります。AIJに委託していた企業としては、お金が戻ってくるのか大変な心配です。AIJに返済能力がないことは明らかでしょうから、どのように手当をするのかも注目していきたいですね。
ところで、この事件はAIJ投資顧問という一つの会社が引き起こしたものと見られていますが、AIJの運用能力に関する評価(うわさ)を支えていたのは、金融機関の従業員がインサイダー情報を流していたなど、カネに群がる多くの法令違反行為だったりします。
グローバル化や超高度情報化社会になり、カネの動きを把握するのが非常に難しくなっています。それを動かすことのできるごく一部の"優秀な”人たちによって、何百万・何千万(もっと多いか)もの人たちの人生が簡単に壊れます。
お金を増やしたいと考える人(顧客)とお金を必要とする人(投資先)を適切に結びつけ、結果として大きくなるカネをうまく回し続ける仕事が金融業者やファンドです。ところが、このバランスを維持することは非常に難しく、金融庁も把握できてません。近年はこのバランスがすこぶる崩れ始めているんじゃないかと怖く感じます。
▼参照記事:
・金融庁、AIJ投資顧問に業務停止命令1カ月(2/24 日経新聞)
・AIJ投資顧問を登録取り消し、監視委が強制調査に着手(3/23 ロイター)
・AIJ企業年金消失:私募投信、基準価格8倍水増しか 新規顧客に販売時(3/26 毎日新聞)
・「投資顧問会社」(Wikipedia)