もうすでに十分周知されているとは思いますが、先日もご相談をいただいたので念のため書きたいと思います。
昨年のNPO法の改正にともない、多数のNPO法人が登記手続をしなければならなくなりました。しかもその期限が今月末である9月30日!この手続をサボってしまうと20万円以下の過料の可能性があります。そして、真面目にNPO法人を運営していこうという団体は、これをサボると過料の金額以上の痛手を負います。
それは、認定・仮認定の申請や、条例個別指定申請で足かせになってしまうということ。
認定申請等をおこなうときには法令違反をしていないことが重要な要件となりますので、登記を怠ったことが法令違反として認定を受けられなくなる可能性があります。
具体的内容
それでは、「どんな団体が」「どのように手続をするか」について一般論を周知しておきます。
◆「どんな団体が」登記手続をする必要があるのか?
- 理事長は、この法人を代表する。
- 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。
定款をご覧ください。そこに上記のような文言が含まれていませんでしょうか?
この文言の意味は、「理事長でない理事は法人の代表権を持たない」ということです。理事は原則として、当該NPO法人に関する代表権を有します(NPO法16条)。しかし、それでは団体活動に実際はほとんど関与していない人にまで代表権が与えられることになり、団体の預かり知らないところでその理事がNPO法人に関する契約などをしてしまうと、その効果がNPO法人に帰属してしまい、場合によってはお金を支払わなければならなくなります。
それでは困るということで、定款で上記のような条項を置いて、代表権を理事長のみに与えることができるようになっています。
しかし従来は、定款でこの制限を設けても、法律上善意の第三者には対抗できないとされていました。つまり、代表権制限に関する規定を定款に設けても、その制限を知らない人との間では、平(ひら)理事が契約した場合にも効果が当該NPO法人に帰属してしまうということです。
これでは、代表権を制限させることの意味が実質上ないことになってしまう。そこで、法改正がなされました。同時に、登記は実態を反映しなければなりませんので、代表権を有すると登記されている平(ひら)理事の代表権を喪失させるための変更登記をしなければならなくなったと、そういうことです。
上記の説明はいたるところでされていますが、意味が分からないという人が多いので少し冗長に書いてみました。
◆「どのように手続をするのか」|添付書類と法務局
書類に関しては、法務省にきちんと説明されています。
▼参照;
「定款」と「代表権を有する理事を選定した書面」「代表権を有する理事の就任承諾書」が添付書類になりますので、上記サイトにしたがって、さっそく法務局に行きましょう。手続は決して難しくありませんし、窓口の人も親切に教えてくれるはずですから、あまり神経質にならないように。
まとめ
あらためて下記のようにまとめます
【だれが?】
●理事長は、この法人を代表する。
●理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。
といった規定が定款にある法人。
【どうすれば?】
●
上記サイトに従って書類を作成し、法務局に行くこと。
足を運ぶべき法務局は、こちらをご覧ください。
【やらないとどうなるの?】
●過料20万円が課せられる可能性がある
●認定申請などができない可能性がある
今は認定を考えていなくとも、今後検討する時期が来るかもしれません。そのときにこの部分をサボっていると後悔するかもしれません。