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2012年4月9日

NPO法人がまず「仮認定」の取得を急がなければならない理由


認定NPO法人でないNPO法人は、まず仮認定を直ちに取得した方がいい。

ちょっと偉そうな書き出しになりましたが、本日はこの点を解説させて頂きたいと思います。

昨年の6月15日にNPO法が改正され、仮認定制度が導入されました。

仮認定制度とは、認定NPO法人になるための重要な要件である、PST(パブリックサポートテスト)要件を満たしていない場合でも、暫定的に「認定」を与え、寄附者に税制上の優遇措置を認める制度です。

NPO法人は営利法人ではないですが、事業活動を継続するために資金調達を考えなければなりません。地方公共団体から事業を受託して委託料を受け取るとか、自分たちで事業によって利益を得るなど、事業として収益がなければ どれだけ崇高な目的を掲げていても活動は頓挫してしまいかねません。


本来NPO法人の効率的活用により社会の豊かさは大きくなるはずです。
民間事業と国や地方公共団体の事業のスキマを埋めていける事業をおこなうのがNPO法人であり、市民生活はそのスキマが埋まってくことでより生活が豊かになるからです。そのため、NPO法人の活動に対して市民が寄附を行うことで、富の再分配を国ではなく個人レベルで行うところに優遇税制の意義があるわけです。

ところが、寄附を推進するにしても、この不景気の中で税金以外に寄附まで積極的に行えるのは、経済的に余力のある一部の人に過ぎません。その一方で、優良なNPO法人の活動を支援したいと考える人が非常に多く存在します。


そこで、優良なNPO法人に対しては、寄附金額の最大40%を所得税から税額控除することが認められました。それが「認定」制度です。ところが、この「認定」を受けるためには、PST(パブリックサポートテスト)要件という大きな障害が立ちはだかります。要するに、広く市民から支持されている事業を当該NPO法人が実施しているか、今後も実施し続けるだけの基礎を有しているか、という部分を数値として証明する必要があるわけです。
そのため、現在4万5千以上存在すると言われるNPO法人のうち、この「認定」を受けることの出来た法人はたったの250団体ほど。


そこで、現時点ではPST要件を満たしていない団体についても、それ以外の要件さえ満たしていれば「認定」に近い効果を認めよう。寄付に対する税制優遇措置を認めることで、NPO法人の活動を国内でより活性化させよう、という意図で「仮認定」制度が、この4月から認められたのです。


ただし、仮認定はいつまでも認められるわけではありません。
有効期間は3年間であり、その間に本認定に移れない場合には、税制優遇を受けないNPO法人に戻り、二度と仮認定の申請はできません。


仮認定制度導入の背景として、NPO法人にも実は様々な団体があるため、NPOへの懐疑的なイメージが増えていることも挙げられます。そのため、せっかく優良な事業を行っているにも関わらず、支援が集まらないケースが非常に多く、改善しなければならないという声が大きく上がっていました。

であれば、同じNPO法人であっても、優良なものとそうでないものを“ふるいにかける”ことにしよう、そういう実情が本改正から読みとることができます。


この改正は、国の制度としてNPOを活性化させたいNPO法人としては事業を継続発展させたいNPOへの支援を希望する市民が寄附をしやすい制度にしてほしい、という3者の利益が一致する非常に大きな意義を持っています。

だからこそ、PSTは今後3年以内に満たせるように事業を進めて、今の段階で新たに一歩を踏み出すべきなのです。何よりも、認定NPO法人自体の数が非常に少ない今だからこそ、仮認定の恩恵は非常に大きいでしょう。


しかも、今ならこの仮認定申請をできる法人の「設立後5年以内」という要件も2015年の3月までは適用されず、設立後1年以上経っているNPO法人なら全て申請可能です。


ちなみに、税制上の優遇措置は、本認定の場合には、以下の4つの優遇措置があります

  1. 個人が認定NPO法人に寄付をした場合の寄付金控除(所得控除or税額控除)
  2. 法人が認定NPO法人に寄付をした場合の損金算入限度額の拡大
  3. 相続人が相続財産を認定NPO法人に寄付をした場合にその財産は相続税の課税対象外
  4. 認定NPO法人が収益事業を行い、その収益事業で得た利益を収益事業以外の事業に使用している場合に寄付金とみなし、一定金額損金に算入できる

このうち、仮認定を受けたNPO法人が受けられるのは1と2だけです。しかし、この2つが非常に大きな意義を有しているわけですから、利用しない手はないのではないでしょうか。

とはいえ、各NPO法人がどのようなスタンスで活動を行うかは、千差万別でしょう。
小さな規模でボランティア的に行えれば良いと思う方も多いかもしれません。

しかしながら、この認定を受けるかどうかは、事業の信頼性に今後直結していくことは間違いありません。継続的に活動をおこなう予定であれば、まずは「仮認定」を申請できるかどうか検討してみることをお勧めします。



▼参考資料:


▼参考ホームページ:


 
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