私は行政書士としてNPO支援をするというより、実際にNPOに入って活動をしています(本業と並行して。)。これは私にとってボランティアでもプロボノでもなく、私自身の事業の一つと考えています。
今回は、なぜ自分がNPOにそこまで関わって活動しているのか、その理由の一つである「経済にゆがみを生む」という点をご紹介したいと思います。
今後NPOに関わってみたいと思う若者や、アクティブシニアとして第2の人生をどのように過ごすか考えている人に、次の進路を考えるに当たってのちょっとした参考になれば幸いです。(-Blogging Worker's Style)
まずはじめに断っておきたいことがあります。それは、私がNPOを好きとか、企業が嫌いとか、そういう感情は全くないということです。NPO法人も株式会社も、それらは単なる法人としての形式(ハコ)の違いでしかなく、私にとって大切なことは、地域経済(具体的には、まずは茅ヶ崎市)でお金が回ること、それだけです。
人の価値観は様々で、幸福を何に求めるかは人それぞれでかまわない。しかし、少なくとも現代社会においてお金が回らないことには、不幸が増大する。だから私は、地域レベルでお金が回る仕組みを作る必要があると考えているわけです(あらゆる行政書士業務を、私はその観点から自分の中で整理しています。)。
では、早速「なぜNPOなのか?」という点をご紹介させていただきます。
そもそもNPOとは?
まだまだご存じでない人も多いと思いますので、まずはNPOって一体何なの?というところから。
NPOとは、社会に存在する課題を20のグループに分けて、それぞれに直接対処すべく活動する法人をいいます。社会福祉とか、教育とか、町おこしとか、環境問題とか。。そして、それらの社会的な課題に対して、事業として解決に取り組んでいるのです。
とはいえ、それだけでは株式会社の事業とほとんどかぶってしまいます。
そこで、NPOの特徴を挙げるとすれば、利益よりもまず課題解決、という点に主眼がおかれていることです。
たとえば、株式会社が事業を行う場合、原則として利益を出せるように事業を行います。そのため、利益が出ない事業は、他の事業で利益を出せる見込みがない限りは不採算部門として切り捨てるのが通常です。
しかし、NPOはそんな不採算部門にもチャレンジするのです。
NPOはある意味で、社会の最後の切り札として活動する法人なのです。
NPO業界の状況
そんなNPOですが、実際に業界に足を踏み入れてみると、多くの課題に直面しています。
第一に、資金不足。そもそもNPOがチャレンジする分野というのは、株式会社を初めとする営利企業が参入しづらい採算性の乏しい領域であることが多い。そのため、NPOがチャレンジしても、その領域でチャレンジし続けるだけの費用を捻出し続けることができず、結果的に活動が先細ってしまうのです。だから、その活動資金の捻出が何よりも大きな問題です。
第二に、人材不足。資金不足である以上、当然の帰結です。
第三に、経営感覚の不足。実はこれが主たる課題ではないかと思うのですが、法人として事業活動をする以上は、収益をどのように確保するのか、より効果的な事業活動をどのようにおこなうのか、そのために人材をどのように確保していくのか、ということが「経営陣」で十分に議論されなければなりません。しかし、実際には「これをやりたい」というアイデアはたくさん出てきますが、そのアイデアを事業として実現させるだけのバックボーンを育てることができていないのです。実に惜しい部分です。
NPOは枠を超える力を持っている、と言う人がいます。
私もそう思います。既存の価値観を打ち破る可能性を秘めている存在です。ただ、打ち破るだけの枠を身につけていないため、まだまだ活動方法を模索している段階なのです。
NPOの支援はすごく増えている
その一方で、NPOを支援していこうという動きはものすごく盛んです。ある意味で、NPOの活動よりもそれを支援したいと考える活動ばかりが先行して活発だったりします。
たとえば、最近だとNPO向けの情報サイトは濫立とも言える状況ですが、プロボノ活動として情報発信をしているサイトなんかは新しくて今後の活動に期待が寄せられます。また、ブログサイトにおいては、はてなブログがNPO支援プログラムとして、有料版のサービスをNPOに無償提供し始めました(今月から)。
NPOを運営する人にとっては、優良なWebサービスを無償で受けることができる良い時代に突入してきたといえます。これはとてもチャンスの時代と言えるでしょう。
NPOのソーシャルメディア活用支援 - テントセン |
はてなブログ NPO支援プログラム 「はてなブログPro」を無料で提供! - はてなブログ (beta)
NPOは突破口の可能性を持っている
さて、NPOという存在、NPOの現状、NPOをとりまく状況と簡単に書いてみましたが、課題は多いものの、NPOを支援する大きなうねりが社会に生じている昨今の状況に照らしてみると、やはりNPOにはどこか魅力を感じている人が多いのが実際のところなのでしょう。
先日、私が所属する特定非営利活動法人NPOサポートちがさき主催で、神奈川県茅ヶ崎市の企業とNPOと茅ヶ崎市役所の職員の方々が一同に会して交流するイベントを開催いたしました。そこで、予想以上に企業サイドの皆さまから熱いコメントがたくさん飛び出し、NPOへの強い期待を感じました。
NPOはまだまだ組織としては非常に弱く、社会を変えられるかというと、残念ながらNPOだけでは難しいのが現実です。しかし、NPOは不思議と様々な主体を巻き込むパワーを持っています。おそらく、それは日本人が根本的に持っている相互扶助や共助といった精神にダイレクトに響くからではないかと私なりに考えています(“手応え感”と表現するメディアもあります。)。
だからですね、NPOが事業主体として成長して、たくさんの主体を巻き込むようになっていけば、これまでの経済体系に風穴が生まれて、お金が回り出すんじゃないかと。そういう風に考えて私は活動しているわけです。
これは私の父がいわゆる中小企業の経営をしている立場であり、その会社の浮き沈みを目の前で見て感じていることが主因かもしれません。地域経済できちんとお金が回る仕組みを作っていく、それが普通の家庭を守ることにつながると、そう思うのです。
行政書士はあらゆる行政手続につながっています。だから、NPOとの連携というのは非常に相性が良いと感じています。まだまだ模索段階ですし、これからたくさんの人と衝突していくことになるだろうとは思います。ただ、イチイチ人の顔色うかがってたらこんな活動できません。それに、外部からの支援活動では相当限界があるなぁと現場で感じます。
だから、いっそのこと内部から活動して、まずは茅ヶ崎市で企業の皆さん、行政の皆さん、そしてNPOの皆さんとタッグを組んで、市内で付加価値を増やすことを自分のミッションとして、「行政書士として」取り組もうというのが自分のスタンスです。今はまだそのうねりに関係のないクライアントの皆さまに対しては、そういう新しい切り口で事業に活かせる情報を提供できるようしていきたいと考えています。
今回はずいぶんと私の一方的な主張ばかりのエントリーになってしまいましたが(そのくせ言いたいことを言い切れていない歯がゆさもある)、何となくでも「こういう思いで活動している人もいるんだなぁ」っていうのが伝わって、そして他の参加者が増えるちょっとしたきっかけになったら嬉しいなと思います。