残念ながら、次のアポイントが入っていたため全ての事例についてお話しを聞くことができなかったのですが、とても勉強になる部分と、まだまだ情報が不十分だなぁと感じる部分とが分かりましたので、収穫は大きかったなぁと感じます。
非常に有意義な県の事業であり、私も同じようなことを茅ヶ崎市で市内の中間支援団体を介して実施しようとしていますので、今後このブログでも様々な事例紹介も行っていきたいと思っています。
とりあえず、今日は事例を一つ紹介。(-Blogging Worker's Style)
スマホアプリが社会を救う!?
現在の携帯電話市場はスマホ祭りと言えるくらい、新規で契約される端末は従来型の携帯電話(いわゆるガラケー)からスマートフォンに変わってきました。電車に乗れば皆手元をカチャカチャとボタンを押すよりも、スイッスイッって画面をなでる姿を見る方が多くなりました。
このスマホで、バリアフリーに過ごせる可能性があるのをご存知でしょうか?あるいは、子どもを守るための教材にもなることをご存知でしょうか?
私たち誰もが気持ちよく生活するには、今はまだまだ不便な点が少なくありません。特に、健常者でない人や子どもにとっては、至るところで注意を払い続けなければなりません。
これらの古くて新しい課題を解決するカギとなるのは、新しい技術です。
そのことに真っ向からチャレンジする企業があります。株式会社計装エンジニアリングという企業です。いわゆるスマホアプリの開発をおこなっている企業。経営理念に「社会責任」を掲げる技術者の企業。彼らは技術によって社会を良くしていこうと考えています。
しかし、「社会を良くする」「社会責任」と言っても内容は抽象的。大切なのは「具体的に何をどのように解決するか」ということ。このコンテンツとなる部分を充実させなければ社会を良くすることはなかなか難しい。
社会的課題への取り組みのプロとのコラボ
何も、社会を良くするためにすべてを自分たちの会社で調達する必要はありません。というか、無理です。たくさんの人を抱えて、社会に存在する無数の課題を一から調査するとなると、そのコスト負担に耐えられません。
だったら、どうするべきか?
社会的な課題にチャレンジしている人とコラボレーションすれば良い。
彼らはいち早くそのように考えました。
計装エンジニアリングさんがアプローチしたのは、「バリアフリー」の場所を車いすユーザーに伝えるNPOと、子どもにまつわる「事故事例」を啓発するNPO。この二つのNPOが持つ情報を、「広く社会に伝えたり、必要な人の手に届けることが、アプリ開発を通じて実現できる」ということでコラボレーションが実現したのです。
その効果は?
このように、この事例は企業の持つ技術的ノウハウと、NPOが持つ情報力がマッチングしたことで、それぞれ単独の活動では手に入れることのできなかった情報を、車いすユーザーや子どもを育てる大人に届けることができたものです。
こういう事例がどんどん増えることで、たくさんの人に新しい価値が提供される。すばらしい!
というのは確かなのですが、もう一つ私はコラボ事業に必要な要素があると考えています。それは、企業とNPOがコラボレーションによって新しい経済的価値を享受することです。
計装エンジニアリングさんが製作するアプリは「無料」で配布されるとのこと。結果として、たくさんの人に新しい価値を届けることはできるでしょう。
では、コラボレーションした企業とNPOはそれぞれ、ずっとこの活動をおこなっていけるでしょうか?5年後も、10年後も、解決しようとする課題が解決するまで。
持続可能であること
現在、社会のいたるところで社会貢献活動が実施されています。日本でも45,000以上のNPOが存在しており、それぞれが自分たちの価値観に従って、社会のために活動をしたいと願っています。
でも、実際にはその多くは活動が先細っているのが事実です。何故か?
無償で事業をするからです。これは企業による社会貢献が続かない理由でもあります。
これからの時代に求められるのは、持続可能な社会貢献活動です。持続可能なものにするためには、経済的利益を享受できない活動は必ず終わりを迎えます。そうではなく、持続可能な社会貢献活動を実現するためには、それが可能となる利益を生み出さなければならないのです。ただ、残念ながらその具体的な手法をNPOは知りませんし、企業活動でも模索しているところです。
この考え方には賛否両論あります。「お金ではなく、想いが大切」という意見も感情的には分かります。
でも、少なくとも私は「経済的価値」にこだわって企業とNPOのパートナーシップ(コラボレーション)事業を作っていきたいと思っていますし、その事例研究やコーディネート事業にチャレンジしていくつもりです。じゃないとNPOにも、社会貢献をする企業にも、優秀な人が一切集まらないからです。
計装エンジニアリングさんの事例は、アプリが無償というだけであり、その宣伝効果や技術研究が本業に利益をもたらしているのかもしれません。そのあたりはベールに包まれているため私の中では情報不足ですが、いつか実際にお話しを聞ける機会がありましたらじっくりとインタビューさせて頂きたいなぁと願っています。
さて、今回は私がどんな観点でパートナーシップ事業を作っていきたいと考えているのかという具体例として、計装エンジニアリングさんのケースを取り上げさせて頂きました。
これから1年~2年くらいかけて多くの事例研究を、ビジネスと法務の観点から実施していきながら、情報発信と、提案できる土台を整えていきたいと思います。まずは湘南地区でお金が回るパートナーシップ事業を10コ増やせるように頑張ります!