国内でリサイクルすべき使用済みペットボトルが、回収先の自治体から海外へと売却されるケースが後を絶たないため、環境省が、来年度から海外売却をしている自治体名を公表する方針を固めたことが3日、分かった。・・・(MSN産経ニュース)
これのどこがニュースなのか分かりますか?「高く売却しているから誉められているのだ!」というわけでは決してありません(笑)
3R(Reduce/Reuse/Recycle)の推進
3Rキャンペーンマーク |
ごみを「減らそう」「再使用しよう」「再資源化しよう」ということを3R政策と呼びますが、これはごみを生み出しては処分をするという一連のサイクルを見直し、処分に至る前に活用していこうという動きです。循環型社会構築の重要なポイントとなる政策であり、有限な資源を守るという重要な目的があります。また、ごみの最終処理まで至った場合の環境破壊の防止という効果も期待されます(ごみの最終処理施設の受け皿は、もう限界に至ってます。)。しかも単なるエコな活動ではなく、経済成長を推し進めるという経済活動においてもポジティブな影響力を持たせている活動です。
3Rとペットボトル
循環型社会構築に向けた3R政策ですが、ペットボトルに関しては、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」という法律によって処分の流れが定められています。この法律は、生活環境の保全や国民経済の発展に向けて、一般廃棄物を資源として有効に利用する目的で制定されました。そのための手順を単純化したものが、上記のイラストになります。
消費者は排出したごみを分別し、一般廃棄物として市町村が責任を持って回収します。そして、回収したごみを、リサイクル事業者に引き渡すか、「日本容器包装リサイクル協会」に引取ってもらい、さらにリサイクル事業者にリサイクルの委託がなされるという流れになってます。
それでは、ここでペットボトルのリサイクルにおける「特定事業者」と指定法人「㈶日本容器包装リサイクル協会」の役割を少し解説します。
特定事業者とは?
ペットボトルを製造する業者(特定容器製造等事業者)と、(たとえば)ペットボトルにジュースを入れて売る事業者(特定容器利用事業者)を、総称して特定事業者といいます。特定事業者に該当すると、「製造」もしくは「利用」したペットボトルに関し、原則として再商品化の義務が発生します。つまり、再利用の義務は、消費者でも市町村でもリサイクル事業者でもなく、「製造」もしくは「利用」した業者が負うということです。これは、OECDが提唱する「拡大生産者責任」のあらわれと言えるでしょう。つまり、①設計の工夫、②罪質・成分の表示、③廃棄後の再資源化等の義務を製造業者等に負わせることで、再資源化にかかる社会的コストを低減させるとともに、製造業者が使用済み製品の処理コストを下げるためのインセンティブを発生させることを意図しているわけです。
㈶日本容器包装リサイクル協会とは?
すでに書きましたが、特定事業者には再商品化義務が課されています。しかし、多くの特定事業者は、再商品化することは困難と考えられることから、容器包装リサイクル法では、指定法人に委託して再商品化することを可能としました。つまり、指定法人と再商品化契約を締結し、処理の委託をおこなえば、その委託した量について再商品化義務を履行したものとみなすことにしたのです。
経済産業省:「図解でわかるリサイクル」(容器包装) |
循環型社会構築に向けた3R政策ですが、ペットボトルに関しては、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」という法律によって処分の流れが定められています。この法律は、生活環境の保全や国民経済の発展に向けて、一般廃棄物を資源として有効に利用する目的で制定されました。そのための手順を単純化したものが、上記のイラストになります。
消費者は排出したごみを分別し、一般廃棄物として市町村が責任を持って回収します。そして、回収したごみを、リサイクル事業者に引き渡すか、「日本容器包装リサイクル協会」に引取ってもらい、さらにリサイクル事業者にリサイクルの委託がなされるという流れになってます。
それでは、ここでペットボトルのリサイクルにおける「特定事業者」と指定法人「㈶日本容器包装リサイクル協会」の役割を少し解説します。
特定事業者とは?
ペットボトルを製造する業者(特定容器製造等事業者)と、(たとえば)ペットボトルにジュースを入れて売る事業者(特定容器利用事業者)を、総称して特定事業者といいます。特定事業者に該当すると、「製造」もしくは「利用」したペットボトルに関し、原則として再商品化の義務が発生します。つまり、再利用の義務は、消費者でも市町村でもリサイクル事業者でもなく、「製造」もしくは「利用」した業者が負うということです。これは、OECDが提唱する「拡大生産者責任」のあらわれと言えるでしょう。つまり、①設計の工夫、②罪質・成分の表示、③廃棄後の再資源化等の義務を製造業者等に負わせることで、再資源化にかかる社会的コストを低減させるとともに、製造業者が使用済み製品の処理コストを下げるためのインセンティブを発生させることを意図しているわけです。
㈶日本容器包装リサイクル協会とは?
すでに書きましたが、特定事業者には再商品化義務が課されています。しかし、多くの特定事業者は、再商品化することは困難と考えられることから、容器包装リサイクル法では、指定法人に委託して再商品化することを可能としました。つまり、指定法人と再商品化契約を締結し、処理の委託をおこなえば、その委託した量について再商品化義務を履行したものとみなすことにしたのです。
上記のイラストを見てもらうと分かりますが、右上の特定事業者は指定法人にリサイクルの委託を行い、指定法人からリサイクル事業者にさらにリサイクルの委託を行う、という構図が出来上がるわけですね。
まとめると、つまり?
以上をまとめると、ペットボトルのリサイクルに向けて、製造事業者・利用事業者(再商品化義務)、消費者(分別排出義務)、市町村(分別収集義務)が、それぞれの役割を果たすことで初めて容器包装リサイクル法の目的(一般廃棄物を資源として有効に利用する目的)が達成されるという構図ができているわけです。もし、この構図が壊れてしまうと?・・・・製造事業者等の努力や、一般家庭の分別も意味をなさなくなってしまいます。
もっとも、海外に高く売れるのであれば、消費者である地域住民にとってもメリットがあるし、市町村のお財布も潤うので良いのではないか、と思われるかもしれません。しかし、そもそも何故循環型社会を構築するのか、という根本的な問いに戻ってみてください。地球全体も然ることながら、日本の資源は非常に限られています。資源として利用しようとするペットボトルが海外にどんどん流出してしまえば、それは日本の資源の流出を意味することにつながります。今の子どもたちや将来世代に日本を良い環境で残すための重要な施策なのです。
ただ、この回収ペットボトルの海外流出はすでに10年以上問題となっており、十分に改善がなされてきていません。冒頭で紹介した産経ニュースの記事で、「指定法人ルートよりも高く販売できるから」「量が多いときに迅速に引き取ってもらえるなど柔軟に対応してもらえる」という自治体担当者のコメントも、率直なものであり、おそらく現場ではまだまだ活用し辛い制度なのでしょう。
しかし、そうは言ってもそれを公務員がそれをやっちゃいかんでしょw、と思ってしまうのは私だけではないと思います。実は、容器包装リサイクル法には罰則が定められているのですが、その名宛人は特定事業者や指定法人のみであり、(当然ですが)地方自治体に対する罰則はありません。規定するだけナンセンスですからね。にもかかわらず、自治体がその法律のスキマを突いて「●●だから」と言い訳をして逃れて良いという話ではありません。誰もがスムーズに循環型社会の歯車として活躍しやすい制度の構築・運用の推進を望みたいところです。
以上、私なりに単純化して書いてみましたが、登場人物も多いですし、やはり分かり辛いかもしれません (´・_・`)ゴメンナサイ
また、こういうニュースがありましたら、余裕のあるときに取り上げてみたいと思います!
こちらのサイトもとても分かりやすいので、興味のある方はどうぞ!
容器包装リサイクル法とは?(公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会)
容器包装リサイクル法の概要(環境省)
㈶日本容器包装リサイクル協会
㈶日本容器包装リサイクル協会
行政書士との関わり
容器包装リサイクル法を取り巻く環境に関しても、行政書士の登場場面はいくつか考えられます。製造事業者や利用事業者に対しては「会社の設立手続」「各種契約法務」「各種許認可の取得」、ごみを収集・運搬する業者に対しては「一般廃棄物収集・運搬許可」、指定法人に対しては「一般社団法人一般財団法人の設立」「各種届出」、自治体との関係でいえば、もともと行政書士は役所と市民のパイプ役であったため、役所が公表する助成金や補助金等のあらゆるサービスの相談も受けることもできます。一部の例外を除いて手続の代行もお受けすることも可能です。ご参考までに。