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2013年2月8日

【レポート】CSVというパラダイムシフト|企業とNPOのパートナーシップ東京交流会に参加してきた



2013年2月6日、赤坂ツインタワーで開催された一般社団法人SAVE TAKATA主催による「企業とNPOのパートナーシップ東京交流会」に参加してきました。

今回は、その基調講演のテーマである「CSRからCSVへ」を聞いて考えた企業とNPOとの協働を創出するためのアプローチについて考えてみたいと思います( ー Blogging Worker's Style )






基調講演の講師は、日本マイクロソフト株式会社の社会貢献課長の龍治玲奈氏。



素敵なサイトを見つけたのでついでにご紹介!

私とCSRの出会い ~CSRに関わるまで~|Whose real is it? 誰かのリアルを自分のリアルに・・・







さて、マイクロソフトという世界有数の企業がどのような視点でNPOを見て、どのようなNPOを選別をするのか、またパートナーシップの成功指標について面白い話しを聞かせてくれました。


企業のCSRのカタチ




CSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)という言葉はみなさん知っていると思いますが、そもそもこの言葉は、製品やサービスを生み出す企業活動自体の企業市民としての倫理が、製品価値やサービスの質に直結すると考えられ、それをすることが一定のインセンティブになったために広がった概念です。

しかし、企業活動と離れたところで社会貢献を行っても、企業として果たすべき富の創出としての側面が疎かになっては、株主への価値の還元という最大の使命がおざなりになってしまって本末転倒です。むしろ、企業は富の最大化という観点からCSRを戦略的に進め、ザックリと表現してしまえば「企業活動を通じた社会への価値の還元」というものを目指すべきということで、CSV(企業価値創造:Creative Shared Value)が唱えられました。


▼参考:「戦略的 CSR と CSV(共通価値創造)」(PDF)


さて、このCSVとは具体的にどのようなことを言うのでしょうか。

マイクロソフトでは、NPOとの協働を通じて、マイクロソフトというソフト会社ならではの社会貢献活動をおこなう。CSVを実践するために次のような視点を持っています。


社会的インパクトという視点


マイクロソフトが協働する相手を選別する基準は、それが社会的インパクトを増大できるかどうか、という視点です。

マイクロソフトという巨大資本を持ってすれば、相当大きな活動ができるわけですが、そうは言ってもただ闇雲に動いても活動の影響力(インパクト)は大きくない。

むしろ、社会に関心の集まる課題に対して、専門的にアプローチできるプロ集団にマイクロソフトのノウハウを掛け合わせることで、マイクロソフト単体よりも、NPO単体よりも、圧倒的な効果を発揮させることの方が合理的です。

この観点からNPOは選別されると言います。

しかも、KPI重要業績評価指標←Wikipediaね)についても明確に要件を設定しており、企業とNPOのパートナーシップを地方で実現していきたい私としては個人的に大変参考になりました。


私見:中小企業こそCSVであるべき


今回はマイクロソフトという世界中の人が知るほどの大企業のお話しでしたが、企業とNPOとのパートナーシップにおいては、中小企業こそCSVを徹底追及すべきと私は考えています。

よく「社会貢献をしましょう」というと、「ボランティア」「寄付」というものをイメージされる人が多いですが、企業活動として社会貢献をするならむしろ「営利性」にとことんこだわるべきです。

もちろんボランティアや寄付という一方的な労働時間や金銭の提供でも悪くはないですが、それでは持続的な活動はできません。大切なのは「持続できる社会貢献」です。持続できるとは動機付けが維持されること、すなわち「お金」になることだと思います。


こういうことを言うとネガティブな反応をする人もいるでしょうが、私はこの観点にこだわらなければならないと心から感じています。金額の多寡よりも「出しっぱなし」にならないこと。


企業のイメージアップを引き合いに出して無償で協力を募っても、イメージアップするのは当該NPOに関係する極めて狭い人たちの中だけです。その人たちが抜群の情報発信力を持っていれば良いですが、残念ながらそういう人はその辺にいたりしません。


今年から私も中間支援で、企業とNPOのマッチングプロジェクトinちがさきを本格稼働させますが、是非とも興味のある方は前向きなエネルギーを抱いてご連絡いただけると幸いです。茅ヶ崎外からの相談も喜んで全力投球させていただきます。企業にとっては本業に直結し、NPOにとってはミッションに直結し、その結果地域へのメリットが最大化すること。これが真の「新しい公共」なんじゃないかと思うわけです。



いま様々な会合に出席すると「経済を活性化させよう」「社会貢献をしよう」という言葉がリップサービスのように流れます。それらは心から言っていることは分かりますが、「じゃあそのために具体的にどんな成果を上げるのか。その成果はどういうプロセスで経済を活性化させ社会が良くなるのか、社会が良くなるとは具体的にどういうことなのか。」という点が曖昧なことも少なくないように感じます。

経済が上向くと言われているものの、余裕がある状況ではありません。「経済を活性化させる」「社会貢献をする」のであれば、ピンポイントで必要な活動をしたくありませんか?


政権交代したことで「新しい公共」という考えが一気に後退してしまうことを少し心配してましたが、CSVという視点を改めて考えた場合に、やはり方向性としては間違っていないように思います。

ただ「じゃあ具体的にどうするの?」という点は、こういう総論的な話から出てくるものではありませんので、まずは事例を積み上げていくしかないなぁと思うわけです。興味のある企業(中小規模事業者)の皆さんは、是非ともCSVへチャレンジし、そんなチャレンジに関われたら嬉しいなぁと思います。


▼参照:マイクロソフト企業市民活動レポート


こちらは、マイクロソフトのCSRレポートです。ご参考までに。

 
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