「100万社以上の中小企業・小規模事業者と1万以上の専門家・先輩経営者等とをつなぎ、実践的な知識・ノウハウの共有やビジネスマッチング等を実現する」
「バーチャルコーポレーション:ITプラットフォームを通じて、例えば、設計、製造、実証をおこなうそれぞれの企業が連携するなど、複数の業種の中小・小規模事業者のビジネス連携を実現する」
・・・違和感を感じずにはいられないのですが(― Blogging Worker’s Style)
国内経済を支える圧倒的多数の中小企業へのケアの一環として、「意欲はあるものの「知識」が十分でない事業者・起業者・後継者に対し、起業・成長・事業承継等のビジネス段階で必要となる実践的で生きた「知識」を円滑に共有できる仕組み」の構築を、中小企業庁で昨年から研究されている模様。
とても良いことだと思います。
でも、私はどうしても違和感を感じている。この国はどこに向かっていくのかと。
企業も士業などの専門家も、みな民間事業者です。自由な市場の中で創意工夫を重ねて事業者として強くなっていく。その結果淘汰されてしまうこともあるかもしれないですが、それでもまた再チャレンジができる。それが自由な市場だと思います。
ところが、皆が国とつながって、お互いにマッチされるのを待つ仕組みというのは、総量的には効率的で理想的なのかもしれないですが、すぐれて「受け身」な仕組みを作っていくような気がしてならない。というか、専門家と言われる人たちに仕事を与えるための仕組みにしか見えないのですが・・・
経営は限られた資源の中で行うものです。それは知識もそう。知識を補うために優秀な人材を採用し、専門家に依頼するなどして必要な能力を調達する。そのおカネがないなら、負担の少ないビジネスでカネを増やすか、融資を受けるなどして調達する。場合によっては「成功報酬」的に、カネが増えた段階で支払をするなど。
たとえば、沖縄の会社が北海道の税理士とつながってどうするのでしょうか。「そういうことではない」と反論はあるだろうけど、そういう可能性も排除しない過度な高スペックな仕組みに多額の予算が投じられるわけです。
本来、「適当な専門家とのマッチング」は専門家自身が自分たちのリスクでアピールしていくもの。逆に必要なマッチングを実現するためには、事業者に何が存在して何が足りないのかを整理する必要がある。そういう実際的なことを度外視して「専門家とつながれば良くなる」的な発想であるとすれば、残念な結果になってしまうことでしょう。
抽象的なマッチングではなく、具体的な目的に向かった仕組み作りに期待したいですね。