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2016年2月14日

第1世代から第2世代への転換期|キーワードは「承継」と「スリム化」

昨日のミーティングにて


NPO法(特定非営利活動促進法)が施行されて、既に15年が経っています。様々な制度改正が重ねられてきましたが、現在、一つの転換期を迎えています。


それは、「世代交代」です。


「NPOってどんなイメージですか?」と問われれば、おそらく、多くの人はボランティア団体のイメージを持たれているでしょう。それはある面では決して間違っていないのですが、本質的には全く違います。

私は、NPOを、従来のビジネスでは採算が取れない分野において、持続可能な事業をおこなう組織と捉えています。いや、そういうNPOにコミットし、そういうNPOを仕事上のサポート対象としています。

この社会にはまだまだ無数の課題があります。NPO法は下記のように課題を分類しています。


一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 観光の振興を図る活動
五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
七 環境の保全を図る活動
八 災害救援活動
九 地域安全活動
十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
十一 国際協力の活動
十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十三 子どもの健全育成を図る活動
十四 情報化社会の発展を図る活動
十五 科学技術の振興を図る活動
十六 経済活動の活性化を図る活動
十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十八 消費者の保護を図る活動
十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

こういった活動をするのがNPOなのですが、これらの活動を推進してきた多くの人は、シニア層が多く、そのシニア層もそろそろ世代交代をしなくてはならない時期に直面しています。でも、それがなかなかうまくいかない。それはなぜか?



渡し手と受け手の意思がつなげていない


これは企業活動においてもいえることですが、事業承継において渡し手はその心積もりがあるものの、受け手となる方にはなかなか意識が芽生えていないケースが多いものです。
それは単純に受け手の意識が低いという問題で片付けてはならず、自覚を促すための施策を中・長期的に講じなければなりません。

一つには、「任せる」ということです。

これまで事業を創ってきた人たちは、自分達で開拓して、自分達で責任を負ってきました。ある意味で自由で、ある意味でリスキーな状態を潜り抜けてきたわけです。

でも、その後育った世代というのは、第一世代が創ってきた事業の中で創意工夫をおこない、第一世代が責任をとるカタチでチャレンジをしてきました。ある意味で、第一世代の手のひらで活動してきた面があります。

それを突然、「あなたが考えなさい」というように放り出されても、第二世代は「は?方向性を指し示してください」ということになってしまいます。
そうではなくて、まずは渡し手と受け手の課題意識の共有を明確におこない、一緒になって考える時間と猶予がないといけません。ところが、次に書くように、事業が多すぎて第二世代が集中して次の準備をおこなえない事態が生じています。


渡し手が手がけてきた事業のボリュームが多すぎて抱えきれない


「今すぐに挑戦しないといけない課題」と、「挑戦した方が良い課題」の二つがあるとします。当然、まずは前者についてしっかりと資源を投入して課題と向き合わなければなりません。しかし、物事というのは時間というタテ軸と、時代というヨコ軸のなかで位置づけれるものですから、隣接する様々な諸課題にも目が行き、そういったものについても手をかけていこうとすると、気がつくと「挑戦した方が良い課題」にもチャレンジしているなんてことが往々に起こります。

それを繰り返してくると、気がつくと事業が際限なく拡がり、なにが本筋で、どれに取り組まないといけないのかがぼやけてきてしまいます。

私は、ものごとの100%承継なんてことは無理だと考えています。いや、そんなことをすれば、発展が阻害されると思っています。承継においては、いわゆるコアコンピタンス(「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」)部分のみで良くて、そこをベースに次世代が新たな展開をできる余力を与えないといけません。

それゆえに、承継を考える時期になれば、一旦は整理してスリムにしてあげることが大切です。



承継に関する転換期は、極めて謙虚におこなうことが必要だなぁと感じています。
同じような悩みを抱えている団体・企業さんも多いはず。是非、いろいろお話しができると良いと思います。





 
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