2014年8月11日
教師と市民の「信任」|サマースクールが教えてくれたもの
先日、縁があって地元の中学校でおこなわれたサマースクールにボランティアとして参加してきました。
このサマースクールとは、夏休み期間を利用して、国語、英語、数学など自分の弱点を重点的に克服するために、学校側で用意したドリルを1日2時間こなしていくというもの。しかも、マンツーマンで講師までつけます。この講師役として参加したわけです。
それでなんで教員免許も持たない私が参加したのかというと、このサマースクールは地域住民を講師として迎える形態をとっているからです。
久々に入る中学校の校舎。私が(別の中学でしたが)通っていた頃に比べて、とても穏やかで柔らかな雰囲気のように感じました。というのも、いわゆる「先輩は怖い」というひとつの社会通念があったからです。
それが、時代が変わったのか、それともこの学校の努力の成果なのかは分かりませんが、今回参加した学校はそういうネガティブな様子はまったく見られませんでした。
今回参加して感銘を受けたのは、地元の中学校がこれだけ地域に根ざした存在になろうとしている、という事実です。サマースクールをしているという先生方の努力はもちろんですが、さらに学校外の人を迎え入れる難しさを乗り越えようと努力されている姿に大変驚きました。
重ねて、中学生の頃の私には推し量ることのできないほどの教師の方々の生徒に対する深い愛情。子どもたちを思うからこそ、日常の勉強だけでカバーできない部分を夏のこの時期に重点学習する機会を提供したり、多角的に考えるクセをつけるために教師以外の人を巻き込んだり、巻き込んだ地域の人たちと深いかかわりを持てるような設えをしたりと、とても丁寧にサマースクールという事業をつくりあげていることに感動しました。
地域に根付く、というのはとても難しいことです。何よりも「面倒くさい」ものだからです。
でも、学校の常識が通じない人たちと関わることで生徒にとって新しい学びの機会になり得ます。教師の皆さんにとっては、おそらく地域に根付くことによる自負というか自尊心のようなものを得る機会になるのではないでしょうか。
教師は本来、市民の信任にもとづいて子どもの教育の一部(学習面だったり集団行動だったり、常識のようなものを学ぶ場)を担う存在です。最近はその関係性がかなり崩れてしまってきたような話しを見聞きしますが、それは教師だけでなく、市民の側にも大きな問題があります。
サマースクールがそこまでを意図したものかどうかは推測の域を出ませんが、地域と協働することによって、確実のこの中学校の教師と市民との関係に「信任」が生まれている、若しくはこれから育っていくと確信しました。
あなたの地域の学校はいかがでしょうか?もし、このような取り組みを聞いたことがなければ、一度提案してみてはいかがでしょうか?なお、その際にはくれぐれも「学校が企画するべきだ」というスタンスは取らないでください。「私たちが全面的に手伝いますので、一緒につくりませんか?」というスタンスで動いてください。
協働の新しい側面を見た出来事でした。
(それでは。)
2014年8月10日
【報告】さがみロボット産業特区について話を聞いてきた
「特区」という言葉をご存知でしょうか?
特別な区域、という意味なのですが、要は特別な政策が実施される区域という意味です。この特区にはいくつかの種類があります。
- 構造改革特区(区域を限定して規制緩和を実現するもの)
- 総合特区(規制緩和、税制・財政・金融による総合的な支援により、国際競争力の強化や地域の活性化を実現するもの)
- 国家戦略特区(首相のトップダウンで規制緩和をおこない、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出することを目指すもの)
今回お話を聞いたのは、2013年の初めに特区として定められた「さがみロボット産業特区」についてです。
私の住む神奈川県の湘南地域は、ここ数年の道路網の整備(さがみ縦貫道路の開通など)により、これまで湘南に足を運びづらかった人たち(主に埼玉県や群馬県の地域)の流入を期待して行政主導で数々の施策を打っています。今回のテーマであるさがみロボット産業特区も、そのような側面から考えてみると、ロボットという先端技術ゆえの敷居の高さが、非常に身近な話題へと変わってくるんじゃないでしょうか。
それで、じゃあさがみロボット産業特区って何なの?という疑問が湧いてきますが、これは「生活支援ロボットの実用化」を推し進める区域を意味しています。具体的には介護・医療ロボットや、高齢者等への生活支援ロボット、災害対応ロボットなど。それぞれ詳述しませんが、生活支援ロボットは私たちの生活に密着する部分ですから、関連産業がとても多いんですね。そのため、経済振興の観点からすると、膨大な効果が期待されているのです。
ちなみにロボットの定義は、「センサー」によって得られた情報を「人工知能によって制御されたシステム」を利用して「駆動する」もの、と言えます。この三要件を満たすものですから、例えば駅の自動改札機や人の動きを検知するエアコン、衝突回避システムのついた車なんかもロボットに該当することになります。
私としては、この技術的な知識をフォローすることは目指しませんが、少子高齢化の中で労働人口が激減する将来、現場作業をロボットが担う可能性が十分ありますので、今関わっている特に建設業界の方々がどのようにロボット産業と付き合っていくのか、私としてはどのように支援していくのが適当なのかを考えていきたいところです。
今後、交通網はさらに進化し、移動コストは下がっていくことも予想されます。その中で、「どこに住むか」という選択肢を私たちは多く持つことになります。それはつまり、地域間競争の本格化を意味します。都心で仕事するのに大阪からでも1時間圏内になる時代。今回ご紹介した「特区」制度は、人や企業の呼び込みに欠かせない手段になるでしょう。
これは近々読んでおきたいと思っている本。兼子先生の本なので、内容は期待できるでしょう。情報活用・保護の関係の仕組みを理解し始めたら今後の地方自治を改めて考えてみたいと思います。
【参考】
- http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430080/(神奈川県)
- http://robot-education.sakura.ne.jp/files/130528/yajima_presentation.pdf(参考資料)
(それでは。)
2014年8月8日
心を整える、という営みを大切に
今年に入ってからいよいよ忙しさがキャパを超えるようになってきており、自宅事務所でも資料の保管が難しくなっています。ほぼ、アフターファイブに何も予定がないことは無くなり、そろそろ「今後どうするの?」というステージに入っているのだということを否応なしに感じるようになりました。
で、忙しいからどうという話をしたいのではなく、結果として心が乱れていることが増えていることに危機感を感じて、こうして久しぶりにブログの更新をしようとしているわけです。
個人事業主や小規模な法人の場合、経営者の心身の状況は仕事に露骨に反映されます。良い仕事をしたいなら、心身ともに健康を維持しなければ実現しないのは当たり前だし、それはより大きな規模で仕事をしている会社とは根本的に異なります。
つまり、自分のポテンシャルというものがあるとして、それを存分に発揮するためには仕事「量」は7~8分目程度が望ましくて、その仕事「量」に対して「質」を追求していくのがもっともバランスが取れている状態なのだと思います。この「質」の部分に個性が活かされるのですから、既に「量」が10割超えをしているとすると、その仕事「量」を時間軸で引き延ばすか(1週間ではなく2週間でこなす、というように)、そのままがむしゃらにやっても「質」の投下ができなくなってしまう、という危険があるということです。
そんなわけですから、8分目にまで抑えて、質を投入できる環境づくりを2014年度下半期の最重要課題に掲げているわけでして、その過渡期である今はかなり不安定な状態だということです。
このブログは、その状態に戻すために改めて始めようという、そんな宣言的エントリーでした。
(それでは。)